雲井通5・6丁目再整備のコンセプト
本再整備のコンセプトは以下の5点とする。
- (1)中・長距離バス移動を主体とした新たな玄関口の創出
現在、三宮駅周辺の6箇所に分散している中・長距離バス乗降場には、1日約1,400便ものバスが発着しており、兵庫県内、中国・四国方面といった西日本の主要都市を結んでいる。これらを1箇所に集約することで誕生する西日本最大級の中・長距離バスターミナルが、関西におけるバスネットワークのハブ機能を担い、神戸・三宮がバス移動の新たな拠点となることで、人の移動のみならず情報や文化交流等を受発信する新たな玄関口を創出する。
- (2)神戸ならではの魅力と高いポテンシャルを活かした新たな都市機能の集積
対象エリアは、国際都市神戸の窓口である三宮駅の東の直近に位置しており、ポテンシャルの高い場所である。また「特定都市再生緊急整備地域」に含まれ、都市の国際競争力強化を図る拠点としての役割が期待されている。
そこでバスターミナルをはじめ、オフィスやホテルといった昼夜問わず賑わいを創出する都心にふさわしい機能の導入に加え、神戸ならではの魅力を活かした新たな都市機能の集積を図る再整備を行うことで、都心三宮ひいては神戸全体のまちの魅力を高めていく。
- (3)地域の特色を活かした賑わい空間の形成
旧西国街道でもあるあじさい通りなど、地元の地権者が営む路面型の商業店舗や、同エリアに存在する公的施設が生み出してきた賑わいなど、三宮東地域の特色を活かした計画とする。
- (4)三宮駅周辺におけるモーダルコネクトの強化と未来志向の取り組み
三宮駅周辺の道路空間を活用して、便利で回遊性が高く象徴的な空間として再編する「えき≈まち空間」の形成とあいまって、ユニバーサルデザインを基本とした、誰もが利用しやすく安全で利便性や機能性の高いバスターミナルを整備することで、三宮駅周辺を一体化したモーダルコネクト※1の強化を図る。あわせて、将来の社会環境や交通のあり様を見据え、先進的技術を用いたパーソナルモビリティ※2にも対応可能なモビリティ・スポット※3の配置による移動の円滑化支援や、地域の魅力を伴った情報発信機能、都心の利便性を最大限に活かした賑わい拠点としての機能等をバスターミナルと道路空間が一体となって担うなど、未来の道路空間のあり方※4を志向する取り組みを推進していく。
- (5)官民一体となった事業推進体制の構築
市や国、県といった行政機関や、地元地権者や関係事業者等の協働による事業推進体制を構築しつつ、民間事業者の技術やノウハウを積極的に活用できる環境を整え、官民一体となって事業の推進・運用を図る。
- ※1モーダルコネクト:鉄道との乗り換えなど多様な交通モード間の接続
- ※2パーソナルモビリティ:電気自動車や自動運転などの先進的な技術を用いた、歩行者の移動を支援する目的で開発されたコンパクトな乗り物のこと
- ※3モビリティ・スポット:周辺MAPや案内サイン等の『情報発信』、木陰やベンチなどの『休憩施設』、歩行者と他の交通手段(自転車や公共交通)との『結節機能』という3つの機能を兼ね備えた歩行者ネットワーク上の空間(スポット)
- ※4未来の道路空間のあり方:『都市部では人を中心に据えながら、低速モビリティや自動運転等の交通拠点機能や防災機能等を併せ持つ空間や、歩く人のための小規模な施設など、新たな都市型の道の駅とも言うべき空間の創出についても、官民の役割分担を明確にしながら検討すべきである。』
(社会資本整備審議会道路分科会建議 道路・交通イノベーション~「みち」の機能向上・利活用の追求による豊かな暮らしの実現へp.13 3.道路の更なるオープン化~多様な連携・協働を追求する~平成29年8月22日より抜粋)