1. 再整備ビルの構成と設え
- ○国際色豊かな港町として、また旧西国街道の沿道として発展してきた歴史や、神戸の特色であり魅力である〝進取の気性″といった「神戸らしさ」を受け継ぎながら、デザイン都市・神戸にふさわしいまちなみ景観や、賑わい・文化などのコンテンツを提供する新たな拠点をつくり出すものとする。
- ○「えき≈まち空間」における景観方針に対応しながら、再整備ビルの多様な機能が表出するシンボリックなデザインとするなど、新たな神戸の玄関口にふさわしい建築物及び公共空間の形成を図るものとする。
- ○「えき≈まち空間」の歩行者ネットワークと連絡させながら、再整備ビルと「まち」を有機的につなげ、一体的で豊かな歩行者向けのオープンスペースと賑わい空間の創出を図る。
- ○対象エリアの高いポテンシャルを活かし、集客力のある文化・芸術機能、高規格の業務機能や宿泊機能など、都心にふさわしい高質で多様な都市機能の集積を図る。
- ○建物内での緑化空間の確保や壁面緑化などを積極的に取り入れ、うるおいある景観を形成するとともに、低層部のバスターミナルなどにおいては、自然光の取り込みや緑化コーナーの設置などにより、快適で居心地のよい施設を目指すものとする。
- ○例えばビル内の施設利用者のための託児所など子育て支援機能の充実や、高齢者・障害者などのスムーズな移動の確保など、誰もが安心して利用できるユニバーサルデザインを取り入れた施設計画を行うものとする。
再整備ビルの構成イメージ
※今後、民間事業者の参画・提案により、構成が変わる可能性があります。
2.整備・誘導を図る施設及び機能
(1) 付帯施設の充実したバスターミナルと神戸らしさを演出する周辺施設(Ⅰ期・Ⅱ期)
- ○高質な待合空間、快適な化粧室やパウダールーム、シャワールーム、コインロッカーなど付帯施設の充実した中・長距離バスターミナルを配置するものとする。
- ○待合空間周辺には、物販店、飲食店・カフェ等の利便性の高い施設の配置、神戸限定の店舗やここにしかない商品展開等、神戸らしさを演出する魅力ある商業施設等の配置を検討するものとする。
- ○観光客の増加や広域観光推進の観点から神戸の観光情報のみならず、運行する中・長距離バスの目的地などの観光情報を多言語対応で提供する無料Wi-Fi環境の整備、観光案内センター等の配置を検討するものとする。
高質な待合空間
快適なパウダールーム
地元産の食材を扱うフードコート
多言語に対応した観光案内センター
(2) 文化芸術を体感・発信する施設(Ⅰ期)
- ○文化・芸術に気軽に触れたいという市民ニーズや、新たな魅力形成などの観点から、多様なニーズに対応できる設備を備えた最大収容1,500席以上の大規模なホールと、その機能を補完する諸施設を合わせて整備することで、上質かつ多様な文化芸術の体感・発信の場を設けるものとする。
- ○また、従前より当エリア内に立地する三宮図書館についても、都心の立地条件に加え、眺望や緑化空間を活かしながら、知の文化に触れられる新たな三宮図書館として再整備ビル内に設け、屋上庭園を活かした開放的で魅力的なフロアづくりや、併設されるバスターミナルやホールとの連携を図ることで、観光客など新たな利用者層を呼び込むこととする。
多様な催しが可能なホール
魅力的な都心の図書館
(3) 都心にふさわしい魅力・活力を創造する多様な機能等(Ⅰ期・Ⅱ期)
以下の機能等の導入を検討するものとする。
- ○駅近の利便性を活かした高規格の業務機能。
- ○バスターミナルや他の機能との相乗効果を生み出す上質な宿泊機能。
- ○既存の商業施設をはじめとした、まちの魅力となり、来街を誘発するような商業機能。
- ○北側の「あじさい通り」には、地権者の意向を踏まえた路面型の賑わい空間。
- ○企業誘致や多様な居住ニーズへの対応を視野に、中長期滞在などを可能にする高機能な居住機能。
※なお居住機能については、「都心の将来ビジョンの実現に向けた土地利用の誘導に関する基本的な考え方」(平成28年7月公表)に基づき、「都心の土地利用のあり方に関する有識者会議」においてまとめられた報告書(平成30年3月公表)をふまえるものとする。
- ○都心に存在する数少ない憩いの場として、市民に親しまれ、街中で豊かな緑を感じる事が出来る特徴的な緑化空間。
高規格な業務機能
上質な宿泊機能
現在のあじさい通りの賑わい
憩いの場となる緑化空間
現状の3層ネットワークにおける
動線イメージ
3. その他、考慮すべき事項
- ○三宮駅から対象エリアへの動線として現在設置されている地下道やデッキを最大限に活用しながら、Ⅰ期・Ⅱ期それぞれの再整備ビルが独立しつつも、1階レベルだけではなく、地下および2階レベルにおいても、Ⅰ期・Ⅱ期、一体的な動線を確保するものとする。
- ○また、複数の機能がビル内に配置されるため、それぞれの利用者動線がスムーズに機能するよう計画を行うものとする。
- ○さらに歩行者、公共交通・自動車交通のネットワークについては、将来に向けて整備が検討される三宮クロススクエアや駅前広場、JR三ノ宮駅新東口など、神戸三宮「えき≈まち空間」基本計画に盛り込まれた内容との整合を図るものとする。
- ○自動車駐車場や自転車駐輪場については、必要な附置義務台数等を確保しつつ、「三宮クロススクエア」外縁部の駐車場やモビリティ・スポット(P.6※3参照)の配置など、神戸三宮「えき≈まち空間」基本計画との整合を図るとともに、自動車駐車場及び自転車駐輪場の出入口をできる限り集約化し、他の交通との交錯が生じないよう、適切な配置計画を検討するものとする。
- ○新たな再整備ビルでのイベント開催などの実施により、同エリアの賑わいや魅力の維持・向上を図るとともに、「えき≈まち空間」等で展開する地域の特色を活かしたエリアマネジメントの取り組みに積極的に参画するものとする。
- ○建物や施設については防災や環境への配慮という視点から、省エネルギーやエネルギーの効率的利用を図るとともに、エネルギーセキュリティー向上への取り組みや、環境負荷の少ない未利用・再生可能エネルギーの活用等について検討を行うものとする。
- ○「三宮駅周辺地域都市再生安全確保計画」を踏まえ、多言語対応やピクトグラム等、わかりやすい避難場所への案内誘導など災害時における帰宅困難者の安全の確保を図るために必要な対策、防災力強化を図るための非常用発電機等の整備など事業継続性の確保、緊急避難場所・避難所として必要な機能の導入について検討を行うものとする。